2019年6月に麻酔蘇生学教授を拝命いたしました。
私は、志ある若者を育てていくとともに、最先端の医療を実践し、新しい知見を創出することで広島大学麻酔蘇生学としての使命を果たしていきたいと思っています。
私が医学部生のころ、「すでに麻酔学および臨床麻酔は燗熱といかぬまでも安定成長の時代に入ったように見える。」と教わりました。また、その講義の中で、「こうなった今、世間はいったい何を麻酔科医に求めているのだろうか?」という言葉も印象的でした。
あれから20年以上たちますが、麻酔科学はその後も大きく発展してきました。そう考えると、100年、200年前に世の人々が麻酔に求めた、周術期の鎮痛や安全の確保はかなりの成果を収めていますが、これからも発展・進歩を遂げていくものと期待します。
現在麻酔科医に求められることは非常に広範囲に及ぶようになりました。手術麻酔はもちろんペインクリニック、緩和医療、集中治療など麻酔科医の活躍の場は多岐に渡り、今後も麻酔科医に対するニーズは膨らむと思われます。
また、麻酔科は女性医師の多い診療科でもあります。そのため、当研究室では女性医師のキャリア支援にも力を入れています。たとえば、出産・育児や介護など一時的に毎日のフルタイム勤務が困難になった場合、大学病院だけでなく関連病院においても短時間勤務を支援するワーキングシェア勤務制度を充実させています。さらにその後、通常勤務復帰へのキャリア形成のループを推奨しています。
私の想いは、広島大学麻酔蘇生学教室として、これまでの良き伝統を守りつつ、医局員が力を合わせ、患者さんに安心で安全な医療を提供していきたい。さらに、医療者として、研究者として、世界に通用する人材を育成することで、広島から国内外に最先端の医療・研究を発信していきたい。世界の麻酔蘇生学分野を牽引できる存在を目指し、研究室一丸となって日々精進していく所存です。