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研究内容

基礎研究

基礎研究

いくつかの研究グループに分かれ、それぞれが協力しながら基礎研究を行っています。
近年、医学の進歩は目覚ましく、医局単独で最先端の研究を続けることは厳しい状況にあります。
そのため、基礎・臨床を問わず他の講座との共同研究を積極的に行い、国際競争力の強化をはかっています。

また、研究指導者は留学経験者が多く、海外での経験を次世代にうまくフィードバックするよう心掛け、積極的に大学院生にも国内外を問わず学会発表の機会を与えています。

現在、そのようにして卒業した大学院生が留学し帰国後、後進の指導にあたるというサイクルを築きつつあり、現大学院生にも大いに期待するところです。
もちろん、大学院生の研究日やそれを指導する指導医への研究日も割り当てられ、日々の臨床のなかでの研究に対するバランスをとるように努めています。

悪性高熱症に関する基礎研究

悪性高熱症の紹介
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悪性高熱症は揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬により誘発される麻酔合併症です。発症頻度は低いですが、発症時に適切に治療がなされないと致死的な状態になります。リアノジン受容体(RYR1)の遺伝子変異が原因であることが指摘されましたが、現在、それ以外にも関与している遺伝子の存在が指摘されています。

当研究室では悪性高熱症の病態の解明、現在は主にRYR1の遺伝子変異がどのように病態に関与しているかを様々な細胞を使用して研究しています。これらの研究に関して、スイスのバーゼル大学麻酔科と人的交流を行い、国際的な共同研究を推進しています。

 

痛みに関する研究

痛みに関する研究は、薬剤の鎮痛効果の有無や、その効果部位の解明を行っています。ラットやマウスで実験動物モデルを作成し、鎮痛効果を有すると考えられる薬剤を経口や腹腔内に投与して、その効果の有無を行動学的手法において確認しています。効果がある場合には、その効果部位について組織学的手法等を用いて解明しています。
痛みの発症はがんや糖尿病などの疾患のみならず、抗がん剤治療等の副作用が原因となることもあり、臨床的に重要な研究分野の1つと考えています。

実験動物モデルによる刺激疼痛実験及び脊髄免疫染色切片

細胞内小器官の形態変化に関する研究

全身麻酔において静脈麻酔薬、中でもプロポフォールは、世界中で頻用されています。プロポフォールはGABA(γ-aminobutyric acid)受容体に作用し麻酔効果を発揮すると考えられています。しかし、副作用に関して、その詳細な作用機序は未だ不明です。

広島大学神経薬理学教室との共同研究にて、プロポフォールによるプロテインキナーゼC(PKC)細胞内カルシウム動態と細胞内小器官の形態変化、さらに血管痛との関係性を研究しています。

SHSY-5Y細胞に対するプロポフォールのPKCを介した局在変化

臓器保護に関する研究

臓器保護に関する研究は、特に循環器分野において虚血再灌流障害や心筋肥大などの病態解明などを中心に、海外を含む大学内外の研究室と協力のもと幅広い視野で研究を行っています。吸入麻酔薬を含む各種麻酔薬の影響や、その他薬剤の循環機能に与える影響をマウスやラット、細胞モデルを用い検討しています。特に、カリフォルニア大学サンディエゴ校麻酔科とは長年共同研究を行っており、人的交流も盛んです。


遊離単一心筋細胞の低酸素再灌流による生存率比較実験